「ジェネレーション」という分化の仕方

ジェンダーって押しも押されぬ分析カテゴリーとして確立したけれど、ジェネレーションって「ジェネレーションギャップ」って触れられるくらいで、あまり体系的な分析カテゴリーになってない。私は「青年」の歴史をやっているので、ジェネレーションというカテゴリーを成立すべく頑張っていて、「青年」や「老人」をめぐる社会的役割など色々勉強中。したがって、「若者」などと簡単に口にする人がいると、びびびんと神経尖らせて一体この人は「若者」をどう定義しているのか、探りたくなる。


特にあるのは「若者」=煽動されやすい人々。


というイメージ。どこからこのイメージが来るのか。もし本当だったら、なぜなのか。1960年代に行われた有名なリサーチでは、中高生くらいの歳の人々と40代の人々では、(「知識」じゃなくて)思考能力、感情の揺れなど「若者」を定義すると思われる特徴に関してほとんど差がないということだ。(もっと最近のリサーチはどうなのかしらないけど。)それじゃなぜ「若者」は「煽動」されるのか。


仮説1:経験がないから
仮説2:「大人」のヘゲモニー/抑圧に対する反応として
仮説3:人生の初期にあって「将来」の意味が違うから


個人的には仮説2と3ではないかと。

例えば『X国の「若者」はナショナリスティックだ』という観察があったとしよう。それは、「ナショナリズム」を信奉することで自分の「将来」を価値を定めたり、前世代(大人)との断絶を図ろうとする、など色々なジェネレーション特有の理由が考えられる。となると、分析すべきものは「ナショナリズム」の内容ではなくて、そのジェネレーションから見た社会と歴史のはず。


特に19、20世紀にかけて学校に行くという行為が普通になった。つまり親からの経済的自立が10年ほど先にのびたわけだ。この10年の間、身体/精神的に大人と変わらぬほど成長したにも関わらず、親の「保護」の名のもと大人社会のヘゲモニーの中で「未成年」なり「子供」なりの役割を演じるという近代ならではの現象が、こういった「若者」の概念を増幅しているとも考えられる。