いまいちな本を読んで

毎月「日本近現代史セミナー」というので近郊の大学にいる教授らがやってきてうちの大学で研究発表をする。必ず木曜日の夕方なので、今学期は私が教えるTAのセクションと重なってしまい発表の部分が聞けないのだが、Q&Aは聞ける。先週の学者はヤクザについて博論を書いて出版した若手で、私の博論の次の研究がアジアでの右翼団体のビジネスについて(仮だけど)にしようかと思っている手前、本をさっと読んで、Q&Aに顔を出した。本もいまいちだな〜と思ったけど、発表した論文はもっと冴えなかったらしく、一堂コメントもきびしかった。


私の感想その一。暴力と民主主義の関連性をメインテーマにしていて私の愛するTilly教授を引用したりとかしているわりには、他のポリサイでの研究を大分無視しすぎじゃない?!この辺歴史学者がナイーブすぎるところあると思う。


その二。日本の歴史を「違う」視点から見る、みたいな手法も善し悪し。拾い読みしやすくていいけれども、なんだかな〜。絶対新しい史料を使えとはいわないけど、メモをとる気を起こさせないのは、やはりオリジナリティーに欠けるということなのか。


その三。何度読み返しても新たな発見がある本がやっぱり古典として残るのか。最近ダウワーのEmbracing Defeatをまた読んだけれども、やっぱりすごいもん。「レクチャーに使えそう」というのもメモの対象になるな。シンプルで重要な「なぜ」に答えるのも重要。


その四。やっぱり、十分なリサーチ+構成の仕方が両方重要。こうなると結局グラック先生のLarge Question, Deep Empiricism, and Fire in the Bellyっていう哲学に帰結するなあ。